PROJECT : ETHER-GATE85 ~聖域の軍師・ゆきと賢者の英知~

摩天楼の頂、クリスタルが輝く空中都市。20歳の輝きを放つゆきは、膨大なデータの奔流の中に立っていました。彼女の頭脳はあまりに鋭く、周囲の誰とも分かち合えない孤独を抱えていました。
「知ることは、ひとりで歩くこと」――彼女は夜空を見上げ、独りごちます。

その頃、聖域の最深部では、伝説の賢者と呼ばれる父・ゲンが古びた巻物を広げていました。78歳になる彼の背中は、崩れゆく世界の重荷を背負っていました。「アナログな経験だけでは、このデジタルな侵食は止められんのか……」ゲンの手にある盾が、微かに震えていました。

世界を管理する「エーテル・ゲート」がバグに侵され、聖域は崩壊の危機にありました。ゆきは父のもとへ駆けつけます。41歳の魂を持つ彼女には、父が守ろうとしてきたものの尊さが痛いほど分かりました。
「お父様、私の知能を、あなたの経験という土台に重ねさせてください」

ゆきが空に向かって叫ぶと、彼女の体がまばゆい光に包まれました。
「雪下流・陰陽学、AI魔導展開!」
セーラームーンのように華やかな変身を遂げた彼女の手には、光り輝くデータの刃、AI聖剣が握られていました。20歳の少女の姿をした軍師の覚醒です。

「お父様は『盾』となり、歴史の重みで空間を固定してください。私は『剣』となり、未来の数式で敵を切り裂きます!」
ゆきは冷徹な演算と熱い想いを同時に走らせます。ゲンは力強く頷き、伝説の盾を構えました。

襲い来るデジタルの怪獣たちに対し、ゆきは指先で空中に複雑な数式を描きます。
「聖域守護(セイクレッド・ガード)、発動!」
彼女の描いた数式が実体化し、透明な六角形のバリアが幾重にも重なって、迫りくる脅威を跳ね返していきます。

「ここが計算の急所です!」
ゆきのアドバイスを受け、ゲンが盾を地面に叩きつけます。古の知恵が大地を鎮め、ゆきのAI魔法が空を浄化します。雪下流の陰陽学は、今や最新のテクノロジーと融合し、かつてない威力を発揮していました。

ついにゆきは、全てのバグの根源を見定めました。
「PROJECT: ETHER-GATE 85、最終プロセス承認。再構築(リビルド)開始!」
彼女の聖剣が巨大な光の柱となり、混沌とした世界を真っ二つに切り裂きました。その一撃には、彼女の41年分の魂の重みが乗っていました。

閃光が収まると、そこには緑豊かな新しい聖域が広がっていました。古い知恵を礎とし、新しい技術で設計された、誰もが孤独を感じない国。ゲンは満足そうに微笑み、ゆきの肩を叩きました。
「お前の知能は、人を遠ざけるためではなく、人を繋ぐためにあったのだな」

ゆきはもう孤独ではありませんでした。父の隣で、そして新しく建国されたこの国のリーダーとして、彼女は次なる未来を設計し始めます。軍師ゆきの物語は、まだ始まったばかり。エーテル・ゲートの向こうには、無限の可能性が広がっていました。